コロナ禍により、感染リスクを避けるためEC利用が急激に加速しました。EC上での利用者の動向をもとに商品をレコメンドしたり、効率的な広告・宣伝を自動で行ったりするようなシステムが当たり前となり、少し検索すれば、家にいながら即座に欲しいものにアクセスできる環境が整いつつあります。

これからもEC市場の拡大は必然ですが、将来的にリアル店舗は消滅するのか!?生き残るためにリアル店舗に求められる価値は何か?アフターコロナの勝ち組はOMO店舗なのか?などを説明していきます。

 

EC市場の拡大

BtoCのEC市場は前年比7.65%増の19.4兆円規模に拡大

EC市場規模と物販系EC化率

引用:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果」

Amazon、楽天市場などのECモールやネットショップに代表されるBtoC-EC市場の拡大傾向は9年連続。その成長率も年々増加しています。
「いつでも・どこでも」買い物ができるネットショップは多様化する消費者の生活にマッチ。新規参入事業者も増えており、市場内の競争もまた年々激化している傾向です。今後さらに市場が拡大していくのは必然です。

 

EC市場よりはるかに大きいリテール市場

近年の小売業界全体の動向を見ますと、2018-2019年は前年比で、ドラッグストア、100円ショップ、コンビニが増加、スーパー、家電量販店、ホームセンター、書店で横ばいですが、防衛意識の高まりや日用品需要の増加でドラッグストア、100円ショップの売上は好調です。

2020年の小売業界は新型コロナにより、業種別で明暗が分かれました。好調に推移したのは家具や衛生用品、食品などのインテリアや100円ショップ、ドラッグストア、スーパー業界で、テレワークの普及や外出を控える消費者による「巣ごもり需要」が追風となりました。一方、オフィス街や繁華街では人出が減ったため、コンビニや百貨店、アパレル業界が苦戦しています。

 

※リテールとは
個人の消費者に向けた小売のことです。「retail」の語源は、「re(再び、の意)」と「 tail(切る)」。この語源から、「業者から仕入れた商品を、消費者向けに再び分けて売る」という意味を表す。また小売りを行う業者は「小売業者」と呼ばれ、代表的なものがスーパーやコンビニになります。リテール市場の大半は実店舗での販売になります。

 

※参考:海外ECサイトの市場規模ランキング

 

商品試着や体験をリアル店舗に求める消費者

結論から言うと、EC化率は急速に上がっているが、大半の消費が実店舗で行われている中で、ECだけで売上をカバーするのは不可能です。物理的にEC化出来ないもの以外にも、消費者意識の背景として「店舗での商品試着や体験」を求めるニーズがあるからです。ECにはないリアル店舗の価値とは、「返品などの手間なく、商品を実際に見て・体験してから検討・購入できる」こと。実際、そうした意識が多くの人に残っているからこそ、消費者はECの利便性を理解した現在でもリアル店舗を訪れています。

 

EC全盛期の昨今、リアル店舗に求められる価値とは?

「店をブラブラしていてふと目に留まったものを手に取る」ような、偶然の出会い、「新たな機能や価値を持った商品に興味を刺激されて試す」といった発見や体験はリアル店舗ならではの価値です。今までの価値だけでなく、新しい価値を見い出していかないと店舗価値はどんどん下降していきます。

①IoT製品だからこそ必要なリアル店舗

先進的なアイテムは、実際に触ってみないとわからないものが多いですよね。アップルに惚れ込んでいるユーザーならiPhoneに触らなくても購入できますが、新しいIoT製品はサイトで紹介されている内容を見ただけではなかなか手が出ません。ユーザーとってもメーカーにとっても、商品に触接触れられる場というのは、とても貴重だと思います。

②五感訴求による体験の提供

人は五感で情報を認識しますが、オンラインでは主に視覚と聴覚しか使えません。一方、リアル店舗は、五感をフルに使えます。もちろん、5Gが普及し、ARやVRが発達すれば、オンラインで使える感覚も徐々にリアルに近づいては来るものの、完全に同じようにはならないでしょう。オンラインで得られるのはあくまで情報に過ぎませんが、リアル店舗では、五感をフルに活用することで体験を得られます。この情報と体験の差は非常に大きいと感じます。

③思いがけない出会いの創出

欲しいものが明確な場合は、商品を検索して数クリックで購入できるオンラインと非常に相性が良い。それに対して商品が明確に決まっておらず、相談や比較しながら購入したい場合は、リアル店舗でいろいろな商品を手にとりながら探して買うということと相性が良い。思いがけない出会いの創出という点では、ECサイトにもレコメンド機能がありますが、まだリアル店舗のほうが分があると思います。

④人と人との対面コミュニケーション

リアル店舗の4つめの価値は、人がいること、店員さんがいることです。実物を見ながら、手にしながら、コミュニケーションがとれるということが大事な点だと思っています。話しかけない接客が主流になりつつありますが、これからの接客はより専門知識が求められます。それが出来なければ、タブレットを設置して人は要らなくなります。

 

店舗事業者が今やるべき5つのこと

①展示&販売店

2015年にシリコンバレーで誕生し、最新IoT製品を展示・販売をする米国で人気の「b8ta(ベータ)」。日本には2020年8月に上陸し新宿と有楽町に2店舗を構える。「b8ta」は製品のβ(ベータ)テストを行いながら販売するお店で、販売数に関わらず、メーカーから月額固定の出品料を徴収するというビジネスモデルです。出品料を支払う代わりにメーカーは「b8ta」で商品が売れてもマージンを支払う必要はなく、売上は100%メーカーに入ります。現在では、「売らない店舗」として定着してきています。

②OMO店舗

これからは、「店舗で体験、ECで購入」が当たり前になるかもしれません。ネットで買うことを前提に、リアル店舗は在庫を置かずに展示&体験の場と割り切る考え方もこれからは必要になるかもしれません。購入商品を持って帰ることも要らないし、支払方法も色々選べ、ポイントも付く。企業側は、店舗数や敷地面積、従業員を縮小できるためコスト削減が図れます。

※OMOとは
Online Merges with Offlineの略で「オンラインとオフラインが融合した世界」を指します。オンライン(インターネット)とオフライン(リアル店舗)の境界線をなくして個々の顧客に最適なサービスを提供し、CX(顧客体験)の向上を目指そうというものです。

③EX(Employee Experience)を高める

EXはEmployee Experience(従業員体験)の略です。CX(顧客体験)を高めるためには、CXと同じぐらい、従業員側の体験を高めることも重要です。企業側で、直接お客さまと触れ合うのは従業員やスタッフです。EXを高めることで、結果的にCXが高まり、顧客満足度が高まっていく。顧客満足度が高まると、それが最終的に企業のロイヤルティであったり、評価だったり、継続利用率につながり、いい循環が生まれていきます。

④デジタルの力で接客品質を高める

接客品質を高めるために、従来はマナー研修、接遇研修、ロールプレイング、接客マニュアルの作成を行ってきましたが、それに加えてレコメンド機能や、オススメ商品やセールストークの内容を手元のタブレットに表示するなどデジタルの力を使って接客品質を高めていくことも必要です。

⑤感染防止策を徹底し、周知する

適切な感染防止策がとられているかどうかは、今や判断基準のかなり高い位置にあります。感染防止策については、すでにいろいろ実行されているかと思いますが、大事なのはその取り組みをお客さまにしっかり伝えることです。SNS、Webサイト、チラシ、広告、店頭、店内など、あらゆる方法で、「このような取り組みをしていますので、安心してお越しください」ということを積極的に伝えていくことが必要です。

 

まとめ

先程申し上げたようにリアル店舗は無くなりません。しかしEC化率が拡大する今、リアル店舗に突き付けられている問いは、
「お客さまがリスクを冒してまで、その店舗に足を運ぶ価値があるのか?」
「オンラインでは代替できない価値を提供できているのか?」
というものです。

これから様々な店舗が出てくる中で、「どのような形態」「どのような役割を担う」店舗にするかという定義を改めて決める必要があると思います。

 

 

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