スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)をエネルギーや生活インフラの管理に用いることで、生活の質の向上や都市の運用及びサービスの効率向上、そして都市の競争力をつけ、現在と次の世代が経済・社会・環境の観点で需要を満たすことができるような都市のことです。類似の概念に「スマートグリッド」がありますが、スマートグリッドが電力に着目している一方、スマートシティは都市の生活基盤全般を含みます。

スマートシティの構想には、エネルギーや医療、交通システム、インフラなど様々な分野で取り組みが進められています。例えばスマートエネルギーの観点からは、スマートグリッドやスマートメーター、発電・蓄電の自動制御、再生可能エネルギーの活用があります。また、交通システムの観点からは、スマートパスやEV用充電ステーション、物流・輸送の最適化などの取り組みがあります。

 

求められる背景

スマートシティが求められている背景には、2050年に世界人口の70%が都市に集中すると予測されていることがあります。都市に人口が集中することで、様々な都市機能に負担が増大します。そのため、都市部の効率的なエネルギー使用の改善は急務となります。都市部への人口集中は交通渋滞や犯罪の増加、大気汚染や環境悪化の原因となる可能性もあります。

またスマートシティ化は、グローバルな都市の競争力という観点からも非常に重要となってきます。日本はこれから労働力が不足する見通しがあり、これまでの経済成長に陰りが予想されます。労働力を確保するためにも、都市における居住性がより重要な意味を持ちます。急速な都市化に伴う環境への高い負荷、経済成長の鈍化は、今後の社会、環境と経済の行く末を決定付けると考えられます。この課題解決のためにIoTやセンサー、ビッグデータを始めとした技術を活用した「現在から将来にかけての都市部におけるさまざまな課題を解決する取り組み」として、スマートシティが注目されています。

上述のように、行政や医療、エネルギー分野など様々な分野で検討がなされています。また、経済的効果も大きいと言われており、世界のスマートシティ市場の規模は2020年までに約1兆5,650億ドルまで達すると予想されています。

 

世界の動向

スマートシティについて、各国各都市の取り組みだけでなく世界規模でスマートシティ実現のために検討されています。例えば、2011年に始まった都市の課題と技術の発展について扱うSmart City Expo World Congress(SCEWC)という国際的な議論の場があります。2015年は105カ国14,288人もが参加。

欧州でのスマートシティへの取り組みに関しては、大手不動産開発会社や不動産管理会社が手がける傾向にあります。日本では、スマートシティに関するプロジェクトに参画する企業は、電機大手会社が多く、日本と欧州の傾向が違うことがわかります。例えば、フランスの不動産開発大手Bouygues Constructionが進める「LinkCity」というスマートコミュニティ開発のためのプロジェクトでは、英ロンドンやスイス・バーゼル、フランス・ニースで都市開発を行っています。

また、ベンチャー企業によるスマートシティ・プロジェクトへの参画も多く見られます。英Pavegen Systemsは床発電パネルを開発・販売し、ロンドン郊外のヒースロー空港やロンドン市交通局の地下鉄駅にも導入されました。また、スウェーデンBumbee Labsは、スマートフォン向けの無線LAN(Wi-Fi)を観光客に無料で提供することで、行動履歴をデータとして取得。それを解析してB to Bの売上や収益拡大のためのソリューション提供を行っています。

加えて、日本企業が海外都市のスマートシティ・プロジェクトに参画する例もあります。例えば、2015年にはITコンサルティング企業の日立コンサルティングが、デンマーク・コペンハーゲン市のスマートシティ構想において、ビックデータプラットフォーム構築プロジェクトの事業パートナーとなりました。

 

日本の動向と事例

日本では、経済産業省により「次世代エネルギー・社会システム協議会」が設置され、横浜市、北九州市、豊田市、けいはんな学研都市の4地区が実証研究のために選ばれました。例えば「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」では、5カ年計画でエネルギー循環都市を目指し、横浜市と企業34社が15のプロジェクトを共同で実施。市内で4,200世帯がHEMS(Home Energy Management System)を導入、またEV(電気自動車)は2,300台導入されました。これらの実証実験は、日本国内に留まらず東南アジアなど新興諸国に向けてモデルを提案することを見据えています。

上記に加えて日本経済団体連合会が「未来都市モデルプロジェクト」で11地域を選定。福島県檜枝岐村、茨城県日立市、千葉県柏市、神奈川県藤沢市、愛知県豊田市などが民間主導型のプロジェクトを行っています。

 

■交通分野の事例

公共交通機関が少ない地域では自家用車への依存が強く、運転が難しい高齢者や子ども、障がい者といった人々が、買い物や通院といった生活に不可欠な移動ができない「交通弱者」となっています。

このような移動格差問題を解決するため、「生活者がいつでも、どこでも、誰でも移動しやすくなるような仕組みづくり」が日本各地で行われています。

例えば、広島県東広島市では「オンデマンドバス」を採用しています。このオンデマンドバスは、決まったコースを定時運行するのではなく、MONETというアプリを通じて日時や乗降場所を指定した予約を行い、乗客のニーズに応じて目的地まで運行する仕組みです。

また、京都府の精華町と木津川市の「けいはんなプロジェクト」では、2019年にシェアサイクルを使って移動の利便性を上げる実証実験を行いました。京都のように交通機関が充実していても、最寄り駅から目的地までの徒歩が意外と不便なことが珍しくありません。自転車のシュアリングはこのラストワンマイルの移動を大変便利にします。

 

■環境分野の事例

スマートシティの考え方は2000年頃に誕生し、もともとは環境問題やエネルギー産業に関する取り組みとしてスタートしました。情報技術を使った環境問題へのアプローチは現在でも重要なポイントのひとつです。

スマートシティでは、再生可能エネルギーの普及、IoTを活用したエネルギー消費の効率化、ごみの削減や資源活用などが理念とされています。情報技術を活用した各地の事例をみてみましょう。

神奈川県藤沢市は慶應義塾大学と、ゴミ収集の業務改善を図るアプリ「みなレポ」を開発しました。センサーとドライブレコーダーを装着した収集車から「みなレポ」へデータが送られ、アプリを通じて市の職員がゴミの実態を把握し、迅速な処理ができるという仕組みです。

さらに、福島県会津若松市では、山林未利用間伐材を主燃料としたバイオマスエネルギーの地産地消を推進しています。再生可能エネルギーの利用を促すと同時に、林業が衰退し山林放置問題が発生している現状の改善にも役立っています。

 

■経済分野の事例

スマートシティは、経済活動の効率化や活性化も大きな目的としています。消費者データの活用や新たな決済システムは地域産業に経済的利益をもたらすものです。新たなデジタル技術を使った事例をご紹介します。

複数の交通手段の検索予約と決済を一括で行えるアプリ「MaaS」は、北海道エリアから沖縄県八重山地方まで全国30以上の市区町村や地域で個別施策が行われています。交通の利便性は人の流れを促し、観光業をはじめとした地域産業を活性化させます。

また、人手不足が深刻な地方の農業分野ではスマート農業の導入が進んでいます。秋田県仙北市ではソフトバンクが開発したアプリ「e-kakashi」の実証を行いました。田畑に設置したセンサーから取得した栽培・環境データを見える化して農作業の負担を減らし、データを蓄積することで農作業の引継ぎを効率化するシステムです。

 

スマートシティで生活がどう変わるのか?

国土交通省が2019年に取りまとめた報告書「スマートシティの実現に向けて 中間とりまとめ」によると、スマートシティが実現した社会では「生活者は物理的な距離や時間的な制約から解放され、有意義な時間を最適かつ自由に使うことができる」と記述しています。スマートシティが実現することで、生活がどう変わるのか紹介します。

①どこでも働くことができる

テレビ会議の活用でテレワークや在宅勤務を可能にし、どこでも仕事のできる環境になります。

②買い物が楽になる

Eコマースの発達で実店舗に来店しなくても自宅や移動中に、スマホから簡単に買物ができます。ユーザーの購買履歴に基づく「おすすめ」機能で、生活者のニーズに合った商品の推薦を行い、生活者が買うべき商品を考える・探す時間が短縮されます。ドローンによる無人物流システムが進展し、商品の購入から受取までが一貫されます。また、ドローンは地方部での配送サービスや災害時における現場確認・平時における警備・監視など、利便性だけでなく、防災や災害対策が行うことができます。

③移動が楽になる

都市交通インフラが実装され、人工知能(AI)が自動運転を行い、搭乗者は道路状況に注意を払わず、車内でくつろぐことができます。余った時間を自身のスキルアップやボランティア活動に有効活用することで、個人の生活の質(QOL:Quality of Life)を高められると考えられています。結果的に社会貢献や経済の発展につながります。

 

今後の展望

スマートシティ構想は、車両の自動運転や医療のリモート化、エネルギーの効率化や環境負荷の軽減など、さまざまな社会問題を解決する可能性を秘めています。また、通勤や買い物などの生活のための移動時間が削減され、体験や出会いにつながる活動時間が増えることで、あらたなイノベーションが生まれると期待されています。

日経BPクリーンテック研究所によると、世界のスマートシティ・インフラ市場規模は、2030年までの累積で4,000兆円に達すると予想されています。そのため、異業種からの市場参入も増えてきています。スマートシティを推進するには、実施地域の地方自治体との協働が欠かせません。市場は拡大し、競争も激しくなるこの分野で、関心の高い自治体との協働を世界規模で展開していける企業が、市場の動向を決しそうです。

昔見たマンガの世界が今そこまで来ています。人に環境に優しい世界が来ることにハレーションを起こすのではなく、柔軟な対応、受け入れる姿勢、楽しむことが重要かもしれません。そうでなければ、「時代遅れ」になってしまいます。

 

 

 

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