アフターコロナ、テレワークの先にある、新しいリストラ手法として人事が注目しているのが、「セカンドキャリア支援制度」だ。キャリア開発研修などを通じ、45歳以上の社員が退職して独立起業や他社への就職といった“転進”を支援する名目の早期退職優遇制度だ。臨時で実施する希望退職者制度と異なり、この新リストラ策を常時実施しようと布石を打つ企業が増えている。

またテレワークにより、今まで必要とされていたポジションや人材が不要だと気付いたり、優秀な人材と怠ける人材が明確化していることは、皆さんもお気付きのことだと思います。テレワークによって見えたのは、今までの馬鹿馬鹿しい常識や不要の産物なのかもしれません。

善意の「セカンドキャリア研修」で退職に誘導する手口

コロナ禍の中、会社と社員の関係がどんどん変わっている。自己裁量を与えることで社員の自立を促し、労働時間に縛られない働き方改革はコロナ前からの課題であった。それが、コロナでテレワークが普及し、仕事の管理や成果を含めて自律的に高い競争力を発揮できる人材の重要性がより浮き彫りになりました。
同時に企業の存続と発展を目指すには、ビジネスの変化に応じて必要な人材をいかに外部から集められるかが重要になってくる。その障害となる年功賃金や終身雇用の排除はもちろん、労働移動は避けられない。

要するに、会社が生き残るには成果重視の賃金体系に移行し、貢献度の高い人材を優遇し、優秀な人材を外部から調達するようにするということです。それは、終身雇用をやめて「労働移動」、つまりリストラによる人材の入れ替えを常態化するということだ。驚いたことに、この考え方に思いのほか、賛同者が多かったことだ。

コロナ禍で始まったテレワークや時差通勤、フレックスタイム制など自由度の高い働き方はおそらくアフターコロナでも続くだろう。これを歓迎する社員も多い。しかし、自由度の高い働き方の代償として、成果による報酬格差と会社からの“退出”を余儀なくされるケースも出てくる。

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「早期退職優遇制度」を「セカンドキャリア支援制度」と名称変更

「早期退職優遇制度」とは、45歳以上の社員が退職して独立起業や他社への就職を支援する制度ですが、これまで手を挙げる人は少なかった。そのため「セカンドキャリア支援制度」という名称に変更する企業が増えてきた。45歳の節目にキャリア研修を実施し、今までのキャリアを振り返るとともに、今後どう生きていくかを問い直す機会を与え、今の会社では実力が発揮できそうにない社員にはセカンドキャリア支援制度を利用し“転進”を勧める。支援の仕組みは、退職金割増金に加えて、退職前の1年間は就業しながら独立準備や再就職活動を認めるほか、新たに副業なども認めて、週2日程度他社で働くことを通じて次のキャリアに向けた準備ができるようにしている。

 

「希望退職者募集」は一時的だが「セカンドキャリア支援制度」は常時実施可能

転進とは上手いネーミングだが、キャリア研修と「セカンドキャリア支援制度」をセットにしたリストラ制度であることは間違いない。似たような制度に「希望退職者募集」があるが、コロナ禍のリストラ策として現在、多くの上場企業が実施している最中だ。希望退職者募集とは、業績悪化などの際に期間と人数を限定して退職を促す臨時的なプログラムであるのに対して、セカンドキャリア支援制度(早期退職優遇制度)は、時期・人数や会社の経営状況に関係なく、社員自らの意思で退職する人を優遇する常設された制度という違いがある。

希望退職者募集は数百人、場合によっては数千人単位で一挙に実施されるが、優秀人材の流出だけではなく、残された社員の負荷の増大やモチベーション低下といったデメリットもある。その点、早期退職優遇制度は毎年一定人数に限定されるのでデメリットは少ない。

しかも「キャリア開発」という研修を通じて退職に誘導するなどやり方も巧みだ。20~40代にやってきた職務や経験を書いて振り返ってもらったうえで、今後、会社に対してどういう形で貢献していくのかを具体的に発表してもらう。それに対して外部の講師から「あなたのスキルや経験では貢献するのは難しい」とか「本当に会社に貢献したいのであれば、今まで以上に努力して新たなスキルを学び直す必要があるが、あなたにそれができるか?」といった厳しい指摘が飛ぶ。研修を通じて自信を失い、打ちひしがれる人も出ますが、研修後に人事から「まだ若いですし、そろそろ外で活躍することを含めて考えてはどうですか、早期退職優遇制度もありますよ」とやんわりと言うと、しばらく考えて制度を利用したいと言ってくる仕組みである。

 

なぜ、「45歳」社員をリストラの標的にするのか?

45歳は入社後約20年、65歳まで雇用するとなるとちょうど折り返し地点です。正直言って30代後半以降の非管理職世代では仕事に対するモチベーションが高い人は3割程度しかいないという調査結果もある。当然、人事評価も高くない“働かないオジさん”もいる。そんな人をあと20年も面倒をみるのは厳しい。また本人たちのことを考えても50歳を過ぎて新しい会社でチャレンジするのも大変だ。45歳ならメンタリティも変わるだろうし、転職先も見つかるし、再チャレンジするにもふさわしい年齢と考えているからである。

 

「45歳定年」を余儀なくされる人、生き延びる人の特徴

加えて冒頭に述べたようにコロナ禍のビジネスモデル変化に応じた専門人材を外部から積極的に採用していこうという企業が増えている。そのためにも50歳以降ではなく、40代の早いうちから新陳代謝を促していく方向にある。

実際に早期退職優遇制度を設ける企業が徐々に増えている。米系人事コンサルティング会社のマーサージャパンの調査(2020年8月19日)によると、早期退職優遇制度がある企業は、2018年は27%だったが、20年は35%に増加している(早期退職優遇制度のみと早期退職優遇制度・希望退職制度の両方がある企業の合計)。ポストコロナをにらんだ大企業の一連の動きは、まさに“45歳定年制”が現実のものになりつつあることを示唆している。
ただ露骨にやり過ぎると、社員に対する企業の姿勢が見えてしまい、早々に転職していく社員も増えてしまう危険性があることを忘れてはいけない。
なぜなら、それをする社員ほど「優秀な社員が多い」からです。

45歳の節目で退職勧奨の選別を受けることになれば、20代や30代も決して安閑としてはいられないだろう。同期入社の社員だけではなく、外部の中途社員との競争が激化することは必至である。競争に負けた者や、仕事しない人、お荷物になる人、業績に貢献できない人は組織で生き延びることは難しくなるだろう。

テレワークなどの自由度の高い働き方は企業が与える単なる「福利厚生」ではない。管理職や上司の厳しい目がなくても自主的に動き、今まで以上の成果を発揮することが求められています。

 

また、企業側もリストラだけでは、一時的な改善にしかならないことはご存じの通りです。
新時代は今まで以上に採用が重要になってきます。マイナビやリクナビなどの統一された情報や期限が来たら消えてしまう情報だけでは不十分で、企業側にノウハウは一切残りません。
就職規定の廃止や企業による独自の採用方法などの加速が予想されるため、自社で自由に発信や採用できる力がとても重要になってきます。
その自社採用力の有無で、企業の未来が決まると言っても過言ではありません。

是非、これからの採用にお役立てください。