東京オリンピック・パラリンピックまで42日というのに、今ださまざまな報道が毎日流れています。開催そのものへの疑問に加え、「水際対策どうするの? 観戦体制は?」などなど、心配ごとはつきません。

他の有力な国からの開催反対の後押しももらえず、逆にワクチン接種の遅れを指摘されている日本は、グダグダと時間だけが過ぎて行っています。国民の理解や協力が無いとボランティアも集まりません。

日本政府が国民の理解など関係なく開催することを目的にするなら、無観客開催。もし国民の理解や協力が得られたなら、国内観戦客数50%で開催するのではないかと私は予想しています。

結局のところ、オリンピックが開催されれば、日本国民もそれなりに楽しむと思いますが、もう少し日本政府もはっきりとした姿勢を日本国民にも世界にも示して欲しいというのが本音です。

では、オリンピックを開催しなかった場合や無観客で開催された場合、どれくらいの損失があるのでしょうか?
経済損失が大きいことがオリンピックを中止に出来ない理由なのでしょうか?

様々な角度からみていきたいと思います。

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オリンピックの中止は、経済損失1兆8千億円。

海外観客は受け入れず、国内観客は制限なく受け入れるケースでの場合、経済効果の総額は1兆8,108億円となる。大会が中止となれば、同額の経済損失が生じる計算である。(また、無観客で開催された場合は経済効果の総額は1兆6640億円となり、誤差は-1,468億となる。)

その金額が大きいだけに、日本政府も簡単に中止と言えないのも1つの理由です。

 

【国内観客数による経済効果】
1.国内観客数:100%の場合・・・・経済効果:1兆8,108億
2.国内観客数:50%の場合・・・・経済効果:1兆7,374億(-734億)
3.国内観客数:25%の場合・・・・経済効果:1兆7,007億(-1,101億)
4.国内観客数:0%の場合・・・・経済効果:1兆6,640億(-1,468億)
※引用:東京都組織委員会資料を基に野村総合研究所が作成    

 

緊急事態宣言による経済損失の比較

では、オリンピックによって新たにコロナ感染が拡大し、4回目の緊急事態宣言が発令された場合の経済損失はどれぐらいになるのでしょうか?

【緊急事態宣言による経済損失】
1回目:経済損失 約6.4兆円
2回目:経済損失 約6.3兆円
3回目:経済損失 継続中

緊急事態宣言による経済損失は1・2回目から見ると1回当たり約6兆円になります。オリンピック中止の場合の経済損失1兆8千億円と比べると明らかに緊急事態宣言による経済損失の方が大きいのが分かります。

ということは、中止に出来ない大きな理由は経済損失以外にあると考えるのが自然です。

 

なぜ日本政府は東京オリンピックを中止できないのか?

東京オリンピックが中止となった場合、次に予定されているのは2022年2月開幕の北京冬季オリンピックです。アジアで日本と勢力を競い合う中国開催の大会が次に控えているとあっては、日本政府は出来る限りのことをしてでも東京オリンピックを実現しようとするはずだというのが大方の見方です。

日本で前回、夏季五輪が開かれたのは1964年の東京オリンピックだ。当時は、第2次世界大戦後の日本の復興と再建を表す重要な象徴だと、オリンピックはみなされていた。今回の東京オリンピックも、日本にとって象徴的な意味合いがあると、アンダーソン教授は説明する。「日本ではもう長いこと経済が停滞していたし、津波と福島の原発事故もあった。そのため、東京五輪は日本復興の象徴となったはずだ。そういう意味では特に大事な大会だ」と。

近代オリンピックの歴史で、オリンピックが中止されたのは過去3回のみ。1916年と1940年と1944年の大会中止はいずれも、世界大戦がその理由だった。オリンピック憲章に「延期」の文言はない。あるのは「中止」だけである。しかし、戦争以外の理由で「中止」にするよりも、オリンピック史上の例外、「延期」をIOCは選んだ。であれば、オリンピックの理念を貫くためには、何としてでもコロナとの戦いに勝利するしかない。

よって、東京五輪2020の2021年開催は、オリンピックが生き残れるか否かの正念場といえる。開催ができなければ、それはIOCにとってばかりでなく、オリンピックそしてスポーツにとって未来がなくなるに等しい。サッカーやテニスといったビッグスポーツならば話は別だが、その他の多くの競技は五輪競技になることによって、あるいはIOCが承認した競技になることによって、その競技運営を紡いでいるのである。これが、バッハ会長が、「東京五輪がトンネルの先の灯火になる」と執拗に言い続ける背景である。

 

まとめ

どれだけ逆風が高まろうとも、IOCが中止を検討さえしようとしない姿勢から、五輪に詳しい人の多くは東京オリンピックは予定通り7月23日に始まるだろうと見ています。

日本政府やIOCがオリンピックを中止しない理由をまとめると、
1.アジアのリーダー国としてのアピール(vs中国・韓国)
2.日本復興の象徴
3.コロナウィルス克服の象徴(平和の象徴)
4.スポーツ及び競技者の継承と未来

しかし、史上最大の参加選手数を誇ることも、史上最大の観客動員数を記録することも、はたまた史上最大の収益を上げることも目標にできない異例の大会になる。コロナがあってもできるオリンピックを求めるには、医療体制の完備、リモートワークの徹底、感染抑制対策の追求が必須である。その上で、可能な限り選手数を抑え、役員数を削減し、観客を管理する努力を続け、経費の節約に励む。それはこれまでの限りなき進化を続けてきたオリンピックとは違う、トーンを抑えた質素なオリンピックになるだろう。

しかし、そこに「スポーツは平和的な競争の中に全ての人々を参集する力がある」ことを示すことができれば、コロナを克服した史上最高の五輪と称される未来が来るかもしれません。

それはただオリンピックのためだけでなく、ウイルスに対応できる社会機構の構築にもつながる。
東京オリンピック2020の使命はそこにあると思う。