アマゾンが「ヘアサロン」開業で美容業界に参入した。「なぜ、あのEコマースのアマゾンがヘアサロンを?」と驚いた人は多いのではないだろうか。しかしその背景には、アマゾンが挑む今後の展開、そして新し時代の動きが見えてきます。Eコマース市場やリテール市場の規模と戦略から、新しい時代という認識とその時代を生き抜く方法を見い出そう。

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アマゾンがロンドンでヘアサロン開業のなぜ?

2021年4月20日、アマゾンがロンドンでヘアサロンを開業し、メディアの関心を呼んでいる。このサロンは顧客にテクノロジーを体験してもらうことを目的にデザインされています。

特徴の1つがAR(各超現実)を活用したヘアカラーをシミュレートするテクノロジーです。どのヘアカラーを使えば、どのような仕上がりになるのか、ARで確認することができます。

もう1つは「point and learn」と呼ばれる技術で、ディスプレイ棚に映った商品を指差すと、そのディスプレイに商品の紹介ビデオが再生され、購入したい場合は、棚にあるQRコードをスキャンし、アマゾンUKのページで購入する。

このヘアサロンは、まずアマゾン社員のみが利用でき、数週間後に一般客にも開放されるとのことです。現時点では、同サロンはテクノロジーのショーケースが目的であり、サロン自体を増やす計画はないとしています。

「手のひらをかざすだけ」で決済できる仕組みも

「Eコマース」会社としてのイメージが定着しているアマゾンがヘアサロンを立ち上げたというニュースは、意外な展開として受け止められているかもしれない。

しかし、この数年のアマゾンの動きを観ると、ある流れに沿った取り組みであることが分かる。Eコマース市場を制したといっても過言ではないアマゾンが次に狙っているのが、リテール市場の実店舗分野だからだ。

このヘアサロン開業に続いて発表されたのは、アマゾンが2017年に買収した食料品小売店ホールフーズの特定店舗で、同社が開発した非接触の店舗支払いシステム「Amazon One(アマゾン・ワン)」を導入するというものでした。

アマゾン・ワンは2020年9月に発表された手のひらをかざすだけで、支払いを済ませられるシステム。

引用:アマゾンによる発表

 

注目されているEコマース市場だが、リテール市場の12%以下しかない

コロナの影響が後押ししていることもあり、実店舗からEコマース(EC)への移行が注目そして加速していますが、まだまだリテール(小売)市場のほうがはるかに大きい。

※Eコマースとは
商品やサービスをインターネット上で売買するビジネスモデルのこと。 「Electronic Commerce」という言葉に由来する造語で、日本語に翻訳すると「電子商取引」となります。

※リテールとは
個人の消費者に向けた小売のことです。「retail」の語源は、「re(再び、の意)」と「 tail(切る)」。この語源から、「業者から仕入れた商品を、消費者向けに再び分けて売る」という意味を表す。また小売りを行う業者は「小売業者」と呼ばれ、代表的なものがスーパーやコンビニになります。リテール市場の大半は実店舗での販売になります。

※海外ECサイトの市場規模ランキング

世界全体のEC市場規模

引用元:平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)

世界全体のEコマース市場規模は、2018年時点で313兆円です。このうち半数以上の61.1%をアジア太平洋地域が占めており、流通額は190兆円でした。

世界各国のEコマース市場において大きなシェアを獲得しているアマゾンだからこそ、アフターコロナの「リベンジ消費」などの追い風を見込み、EC市場よりも規模の大きいリテール市場でのシェア獲得を目指し、確固たるポジションの確立を目指す動きがうかがえます。

そのリテール市場のシェア獲得の先駆けとして、美容市場(2019年:世界美容市場4.6兆円)への挑戦に舵を取り、その一環として「ヘアサロン開業」に至ったと思われます。

その背景として、世界のEコマース市場の獲得戦略がある程度目途が立った言い換えても良いかもしれない。中国やロシア、ブラジルなどを除いては…
その中でも市場が大きい中国を含めた東南アジアが唯一の課題ぐらいだろう。

 

アマゾンの今後の課題は東南アジア!壮絶なアリババとの世界シェア争い!

2017年11月にアリババの時価総額4700億ドル(約53兆円)がアマゾンを一時、上回る出来事がありました。日本経済新聞によると、アリババは中国や東南アジアでのECサイト市場の好調を背景にした結果と伝えています。

アマゾンはネットリテラシーの高いユーザーの多いインドネシアにおいて、最短1時間で配達するサービスの「Amazon Prime Now」の提供をはじめました。東南アジアで展開するのは初めてのことです。

しかし、ライバルのアリババは「タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム」で展開している東南アジア最大級のショッピングモールのLAZADA(ラザダ)を10億ドルで2016年に買収しており、先行を許しております。

しかも、東南アジアには中華系ユーザーが5000万人におり、アリババグループのショッピングモールには、アマゾンよりも馴染みも親しみもあるでしょう。

東南アジアの多くの国では、物流が整っておりません、今後は両社が物流網を構築し、効率の良い商品の配送の仕組みを作っていくことが、シェア争いの勝者を決めることになりそうだ。

 

豆知識①:国内ECモールの売上ランキングTOP5(2019年)

ECモールとは、その名の通り、オンライン上のショッピングモールです。1つの大きなサイト=モールの中に、複数の企業やショップが出店・商品の出品をするタイプのECサイトです。ですので、この売上ランキングはショッピングモール全体の売上比較になります。

1位:楽天 3兆9,000億円

2位:アマゾンジャパン 3兆4,238億円(推定)

3位:Yahoo!ショッピング 8,901億円

4位:ZOZOTOWN 3,248億円

5位:Wowma! (現au PAYマーケット)1,287億円(推定)

 

 

豆知識②:国内ECサイトの売上ランキングTOP5(2019年)

ECサイトとは、モール型とは異なり、独自ドメインを取得して企業・個人のネットショップを単体で運営するECサイトのことを言います。

1位:アマゾンジャパン 1兆7,443億円

2位:ヨドバシカメラ 1,386億円

3位:ZOZOTOWN 1,255億円

4位:ビックカメラ 1,081億円

5位:ユニクロ 832億円

 

まとめ

ある業界でTOPシェアを獲得した企業が、事業の多角展開を急速に進めてきています。今や「業種」という言葉の概念が無くなりつつあります。

※業種とは
採用企業の「事業の種類」を指した項目です(例:「IT・通信」「メーカー」「マスコミ」など)。業種ごとに構造に特徴があり、給与や働き心地にも違いがあります。

 

例えば、楽天の業種は?

インターネットサービス

『楽天市場』などの各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を展開している。

フィンテック

インターネットを介した銀行及び証券サービス、クレジットカード『楽天カード』関連サービス、 生命保険サービス、損害保険サービス及び電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されている。

モバイル

通信及びメッセージングサービスの提供等を行う事業により構成されている。移動通信サービスの提供や、光ブロードバンド回線サービス『楽天ひかり』、電力供給サービス『楽天でんき』などを展開している。

のように一つにまとめることは不可能です。

突然、異業種の企業が新規参入しトップシェアを獲得するというニュースが今までよりも増えてくるのは必然です。それも国内に限らず世界中の企業も新規参入してくる。仕事も生活も、今まで以上に「現実(リアル)」の割合が縮小し、「非現実」「テクノロジー」の割合が増えてくる。

そんな時代だからこそ、現在のポジションに甘んじることなく、新しい時代に対応したブランディングや業務のデジタル化など新しいことに挑戦していくことが、生き残る唯一の方法かもしれません。

「挑戦こそ安定」