NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。
今まで計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化することで、企業の顧客との接点における顧客体験の評価・改善に生かされています。
さらに、NPSは事業の成長率との高い相関があることから、欧米の公開企業では3分の1以上が活用しているとも言われており、日本でも顧客満足度に並ぶ新たな指標として注目を浴びています。
NPS(ネットプロモータースコア)とCS(顧客満足度)との違いは?NPSの計算方法とは?NPSを活用するメリットは?などを簡単に分かりやすく解説します。
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NPSとCS(顧客満足度)との違い
CX戦略の効果を測る上でNPSと共に活用される指標のひとつとして顧客満足度があります。顧客満足度は「CS(Customer Satisfaction)」とも表現され、お客様が商品やサービスへの満足度の指標です。NPSと顧客満足度では、大きく2つの違いがあります。
※CXとは
カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)の略語です。顧客体験と日本語で訳されるように、「顧客が企業との接触で体験することすべて」であり、商品やサービスの物理的価値だけでなく、それらを通じた一連の体験を視野に入れた考え方です。
①定義の幅広さ
NPSでは、「この商品やサービスを知人や同僚にどれぐらい勧めたいですか?」という共通の質問からお客様の顧客ロイヤリティを測定します。
一方の顧客満足度では共通の質問はなく、企業によって測定するためのアンケート項目は異なり、満足の定義が異なるという違いがあります。
NPSでは顧客ロイヤリティの定義が共通であるのに対して、顧客満足度で測定する満足度の定義は企業によって解釈が異なるという違いがあります。
②長期的な収益との関連性
NPSでは、「この商品やサービスを知人や同僚にどれぐらい勧めたいですか?」という将来のお客様の行動を想定した質問が軸となっています。
一方の顧客満足度では測った時点における満足度を指標としています。つまり、その時点で「満足」と回答していても将来的にお客様の購入単価の向上や再購入を見込めるわけではありません。
NPSでは将来性を見込んだ満足感の指標であるのに対して、顧客満足度では現時点での満足度の指標であるという違いがあります。NPSは将来の購入につながる指標であることで、企業の長期的な収益性を見る上でも活用されています。
NPSの計算方法
NPSを計算する上で、まず「この商品やサービスを知人や同僚にどれぐらい勧めたいですか?」という質問に対してお客様に0~10の11段階で回答してもらいます。
そして、回答結果からお客様を分類していきます。
- 0~6点と評価している人は「批判者」
- 7~8点と評価している人は「中立者」
- 9~10と評価している人は「推奨者」
というカテゴリーになります。
最後に、
たとえば、10人の回答のうち「9~10」の推奨者が3人で「0~6」の批判者が5人だった場合、NPSは30-50で「-20」となります。実際には、統計的な観点から、400サンプル以上を確保することが望ましく、この場合の誤差は±5%となります。
もし誤差を±2%に抑えたい場合は、2000サンプル以上が必要となります。
推奨者が多く、批判者が少ないほどスコアは上がります。あなたの会社の製品やサービスのNPSは、批判者しかいないことを示す-100から、熱烈なファンしかいないことを示す+100のどこかにあてはまってきます。
NPSを活用するメリット
ここでは、NPSを活用するメリットについてご紹介します。
①収益拡大の判断材料として役立てられる
代表的なメリットとして、収益拡大の判断材料として役立てられることが挙げられます。将来性を踏まえた質問をするため、商品やサービスが今後売上を伸ばし、収益を上げる可能性が高いかを予測する上での判断基準のひとつとして活用することができます。
また、NPSの改善は、批判者の減少もしくは推奨者の増加のいずれかが想定されます。推奨者が増えることで、再購入、追加購入、継続購入といった行動が増える可能性があります。そして、推奨者が実際に商品やサービスを周囲に勧めたり、高評の口コミが発信されると、新たなお客様との接点が生まれることでさらに収益が拡大する可能性もあります。
②自社のお客様に合ったアプローチを検討できる
NPSの2つ目のメリットとして、自社のお客様に合ったアプローチを検討できることがあります。NPSでは、数値によって推奨者、中立者、批判者の3つのカテゴリーにお客様を分類します。そこでNPSの数値を確認するだけでなく、自社のお客様ではどのカテゴリーが多いのか知ることができます。
たとえば、極端に批判者が多い場合には点数を付けた背景を深掘りし、商品やサービスを見直すことで中立者や推奨者になり、収益の拡大につなげることもできます。自社で想像していたお客様像と実際のNPSを通して見えたお客様像でギャップがある可能性もあります。自社のお客様を知り、最適なアプローチを実施する上でNPSを活用することができるのです。
③業界内での自社の立ち位置が把握できる
NPSを活用する3つ目のメリットとして、競合他社の中で自社の立ち位置を把握できることが挙げられます。NPSは共通の測定方法が用いられているため、業界平均や競合他社と自社を比較することで自社の立ち位置を把握することができます。
日本のNPSランキング1位企業
NTTコム オンラインでは、様々な業界を対象にNPSベンチマーク調査を実施しており、
調査結果は無料のダウンロードレポートなどを提供しています。
業界内の平均と自社を比較してみましょう。
業界 | 業界リーダー | NPS® | 業界平均NPS® |
---|---|---|---|
銀行 | ソニー銀行 | -24.5ポイント | -46.5ポイント |
ダイレクト型自動車保険 | ソニー損害保険 | -20.2ポイント | -28.6ポイント |
代理店型自動車保険 | 東京海上日動火災保険 | -40.4ポイント | -48.7ポイント |
クレジットカード | 楽天カード | -17.0ポイント | -36.6ポイント |
電力 | 楽天でんき(楽天エナジー) | -18.7ポイント | -44.8ポイント |
生命保険 | アフラック | -37.1ポイント | -49.5ポイント |
NPSの活用シーン
NPSを通して顧客ロイヤリティを把握することでさまざまなシーンに活用することができます。
- 商品やサービス自体の改善
- ブランド戦略の刷新
- プロモーション施策の見直し
- コンタクトセンターにおける業務改善
などが一例となります。
NPSを活用することで、自社の課題を把握でき、効果的な改善活動にも取り組むことが可能です。
そして、結果的に自社の成長を後押しすることにつながっていきます。