今まで施設や商品など多くのネーミングの仕事を請負ったことがあるのですが、自分の中であまり明確にメソッドとして確立しおらず、感覚で作成し、それなりに実績を残してきました。

しかし、新規案件で色んな書籍や情報を参考にしながら、ある程度メソッド化できたので、売れるネーミングの作り方とコツを自分自身の確認も含め皆さんにお伝えさせて頂きます。

我流ながら、ネーミング開発する際に行っていた過程はだいたい合っていましたが、今回の学習で感覚から確信に変わり、更に知識が増えたことで、より良いネーミングが作れると自負しています。

それでは、すぐ活用できる実践向きの「売れるネーミングを作成する8ステップ」や「売れるネーミングの成功事例」をご紹介します。

走り回っていた社長に自由な時間と売上をもたらしたコーポレートサイト制作 | フォーサイトクリエイション

フォーサイトクリエイションのコーポレートサイト、ECサイト、ブランドサイト、採用サイトなどのホームページ制作の実績をご紹介します。

ネーミングの重要性

ネーミングは、例えば両親が生まれた子供に幸せな人生を歩んでほしいと名前を付けるようなものです。名前に、その子の一生が託されています。同じ様に、この世に誕生したすべての商品は、企画者、開発者、マーケッター、生産者、取引先、販売者など様々な人の思いが詰まっています。しかし、日々無数の商品が生まれ、そしていつか忘れ去られ、相手にもされず消えていくものが大半です。

そんな中、消費者から選ばれ、売れ続けるためには、ネーミングは非常に重要。
このネーミングの善し悪しで売り上げが爆発的に変わります。つまり、「買うか?買わないか?」=「愛されるか?消えていくか?」の判断はネーミングによって決まるということです。

 

ネーミングの成功事例

ご紹介するのは、ほんの一部です。世の中には多くの素晴らしいネーミングがたくさんあります。

「スリムドカン」

ネーミングを聞いただけで、どんな効果があるのかがイメージできる優れたネーミングです。これを世に出した斎藤一人さんはこのサプリメントで億万長者になりました。この商品の内容自体は、おそらく競合他社の商品とあまり差はないでしょう。しかし、「スリムドカン」という優れたネーミングによって、数ある競合に打ち勝っているのです。

「鼻セレブ」

この商品はもともと、「モイスチャーティッシュ」という名前だったそうです。高機能な商品なのに売り上げが伸び悩んでいたそうです。そこで、ネーミングを変え、デザインも一新した結果…以前の4倍近い売り上げになりました。

「通勤快足」

「フレッシュライフ」という抗菌防臭加工の靴下のネーミングを変更したところ、売り上げは約10倍に。

「お〜いお茶」

1984年に発売された当時の名前は「缶入り煎茶」で消費者からは「読み方がわからない」「まえ茶?」「ぜん茶?」という問い合わせが殺到した割に、売れ行きはイマイチでした。そこで1989年に「お〜いお茶」に改名。もともと、同社の茶葉製品のテレビCMで使われていたフレーズでしたが、それをそのまま商品名にし売り上げは6倍近く急増しました。

「ヒツジのいらない枕」

アウトドア商品や寝具の企画販売会社、太陽(東京・世田谷)の主力商品が、「ベッドに横たわり、ヒツジを数える間もなく眠る」という睡眠体験を売りものにした「ヒツジのいらない」シリーズだ。第1作目である「ヒツジのいらない枕」は、クラウドファンディングのMakuakeで2020年8月にプロジェクトをスタートした。発表と同時に、世の中にないものや新しいものを求めているMakuakeサポーターたちの間で話題になった。20年9月には目標金額30万円のところを6000万円以上集めた。

 

ネーミングの役割

基本的にお客さまは、「良い商品を買いたい!」と思いながら買い物をします。しかし実際には、お客さまの前には商品が山のように並べられています。お客さまは商品選定をする上で「良い商品の手がかり」を探しています。そしてその手がかりとしているのが商品ネーミングなのです。

ネーミングとはお客さまが「感覚」でその商品が自分にとって良い商品であるかも?と瞬時に感じ取る優れた役割を持っています。そのためネーミングはお客さまにとって魅力的であるかどうかが重要になってきます。

つまりネーミングとは「1秒広告」の役割を担っています。1秒で意味がわからない、商品の全体像が見えないネーミングは、お客さまにとって良い商品を選定できないため「不誠実」であり、ネーミングの役割を果たしていないと言えます。

 

ネーミングには3つに役割がありますので順番に説明していきます。

①他社との識別機能

これは、他社商品サービスとの違いを認識させるための機能です。いくら考えぬいたネーミングでも、他社との違いが認識できなければ、差別化も出来ませんし意味がありません。また消費者が混乱する事にもつながります。ネーミングの最大の使命とも言える部分ですので、必ず抑えるべきポイントです。

②コンセプトの伝達機能

これは、ネーミング商品を通じて、独自サービスのコンセプトを伝える機能のことであり、一言でその商品の価値が伝わるよう機能のことです。商品名を聞いただけで、商品の特長や効果、ベネフィットが伝わるようなネーミングにしないといけません。

③イメージ訴求機能

これは、ネーミングを耳にしたとき、意味を伝えるというよりも「おしゃれ」「洗練されている」「かっこいい」「暖かみがある」「クール」「高級感」「手軽さ」など音の響きによって雰囲気やイメージを伝える機能のことです。

 

売れるネーミングを作成する8ステップ

STEP1:商品コンセプトの再確認

社内で商品ネーミングをつけようとした時に、最初にすることは「キーワード出し」ではありません。商品についてしっかりと性格を把握しておくこと、つまりコンセプトの再確認が必要です。なぜなら「商品がどんな目的でつくられたのか?」「お客さまにどう思って頂きたいのか?」「商品の特長とは何か?」というこれらの伝えなければいけない要素を再度確認することによって、言葉選びができるようになってくるからです。

 

STEP2:キーワードを全て書き出す

次はコンセプト以外に、商品の特徴、訴求したいキーワード、一番伝えたいこと、商品誕生のストーリーや開発秘話など商品にまつわる様々な情報をもとにキーワードを書き出してください。

 

STEP3:キーワードを膨らます

STEP2の時点でネーミングの形をつくりあげてしまいたい衝動に駆られますが、そこはぐっとガマンです。ここで勘や経験値に頼っても、少ないボキャブラリーの中で決めていくことになるからです。目立ちかつ印象的なネーミングにするためにも、まずはキーワードを膨らましていきます。今は、ネット検索すればどんどん関連したキーワードを掘り下げていくことが容易です。

また、多国語辞典を使って、今まで出てきたキーワードをいろんな国の言葉に置き換える。キーワードを出すときに日本語、英語のほかに、ラテン語、ギリシャ語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、エスペラント語などからピックアップするのも効果的です。

 

STEP4:キーワードを組み合わせる

1.組み合わせ方式 X+Y→XY

解説:2つのキーワードをそのまま組み合わせます。
例:ゴキブリハンター
例:鼻セレブ

競合商品と類似したものにならないようにするには、異質なキーワードの組み合わせがおススメです。

 

2.複合方式 X+Y→Z

解説:2つのキーワードを共通の文字でオーバーラップさせるやり方。
例:リシェール(richair:rich+hair)
例:い・ろ・は・す(いろは歌+LOHAS ロハス)
例:熱さまシート(熱さまし+シート)

 

3.混成方式 X’+Y’→Z

解説:2つのキーワードの一部分づつをつなげるやり方。
例:アスタリフト (アスタキサンチン+リフトアップ)

 

4.引き算 X-α→X’

解説:一つのキーワードから、一部分を省いて、まとまりのある音感に仕上げるやり方。
例:クリクラ(クリスタルクララ:宅配ミネラルウォーター)
例:セガ SEGA (SERVICE GAME)

 

5.頭文字方式 X’+Y’+Z’→N

解説:複数のキーワードの頭文字を抜き出して、つなげて一つのまとまりのある形にするやり方。
例:DoCoMo(Do Comunication Mobile)、
例:MBA(Master of Business Administration)
例:ASICS(Anima Sana ICorpore Sano 「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」というラテン語の格言の頭文字をとったもの)

 

6.短縮ミックス X+Y+Z→XY

キーワードをつなげた後に言いやすく親しみやすいように言葉を短縮形にするやり方。
例:Suica(スイスイカード)

 

STEP5:組み合わせ以外のやり方

1.語呂合わせ式

解説:ある言葉の中の一部分を別の言葉に言い換えて、全体として別の意味をもたせるやり方。
例:最洗ターン

 

2.回文

解説:中央の文字を中心に、左右もしくは上下に同じ文字が繰り返されるやり方。
例:山本山(上から読んでも山本山。下から読んでも山本山。)

 

3.擬人化

解説:商品やサービスをキャラクター化することで、親しみやすさを訴求するやり方。
例:ガリガリ君
例:すし太郎

 

4.会話調

解説:会話調にすることで、親しみを持ってもらいやすくなるやり方。
例:おーいお茶
例:ごはんですよ!

 

5.擬音・擬態語(オノマトペ)

解説:ふわふわ、どんどん、シュワシュワなどオノマトペを使って、商品の特徴をイメージさせるやり方。
例:ゴキブリホイホイ

※オノマトペとは
自然界の音・声、物事の状態や動きなどを音(おん)で象徴的に表した語。音象徴語。擬音語・擬声語・擬態語など。

 

6.繰り返し

解説:同じ言葉を繰り返すやり方。どこか可愛らしく、愛らしいイメージになります。
例:キレイキレイ
例:ルナルナ

 

STEP6:商標審査をする

ある程度ネーミングが絞られてきたら、一度やっておかなくてはいけないことがあります。それはすでに考えたネーミングが商標登録されていないかというチェックです。もし商標登録がされている場合使えないケースも大いにありますので、チェクしたい場合は「特許情報プラットフォーム」に入り検索をかければ既に登録がされているかが分かります。商標や特許を選ぶ項目がありますので、商標を選び該当ワードがあるかを見るようにしましょう。

 

STEP7:仕上げの3つのポイント

1.簡潔で明快にする

複雑でややこしい、言葉にしにくいものは、人にも伝えにくいし、記憶にも残りませんので、極力シンプルかつ明快さが重要です。

2.一目で認識されるようにする

ネーミングは文字にした時に一目で認識されなければなりません。また、ネーミングが決まってからロゴマーク化されるので、デザインされたときの見やすさも非常に重要な要素となります。

3.音の響き、リズムなど考慮する

言いやすさ、語感というのも大事な要素。

 

STEP8:最終チェック

最後に、消費者の視点で次の5つの項目をチェックしてください。

□読みやすさ
□書きやすさ
□覚えやすさ
□親しみやすさ
□美しさ

 

ネーミングが決まったら、ロゴを作って汎用性を高めよう!

商品やサービスなどにもよりますが、ネーミングが決まったら、ロゴを作成してパッケージや商品などにロゴマークを付けて認知を高め、商品の差別化を図りましょう。パッケージデザインやロゴマークの良し悪しで売上は大きく変わってきます。

皆さまもご存知のように、ファッションブランド・スポーツブランド・車など、メーカーの共同開発が進み機能的には同じであっても、ロゴマークの違いだけで商品の差別化を図り、価格も大きく異なります。

ネーミングやロゴマークには、その力がありますので、慎重に進めて下さい。

 

ネーミング&ロゴ