厚生労働省が発表した2020年度・2021年度の新卒内定取り消しについて、新型コロナウイルスの影響が新卒採用にも大きく影響しているとテレビ・新聞社等が大々的に報じました。
既に内定が出て入社するのを待っていた新卒の方が被害を受け、救済するために臨時の採用枠を設ける企業も出てきています。
経営悪化の影響で採用活動を止める場合も出てきていますが、優秀な若い人材を獲得するチャンスとも言えるので、採用企業側の判断が分かれています。
また、2020年度で卒業予定(2021年度の新卒)の学生は新型コロナウイルスの影響で、各企業が来年度(2021年/令和3年度入社)の新卒採用を一時ストップする動きが出てきており、既に「新型コロナウイルスの影響を受けた第2の就職氷河期世代(コロナ世代)」と言われ始めています。
上記は事実ではあるが、そこまで深刻な事態なのだろうか?以前の就職氷河期並みに経済が冷えきっているのだろうか?コロナによる就職氷河期の再来は事実なのか!?について解説いたします。
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「就職氷河期」とは?
就職氷河期は、一般的には1993年〜2005年までの就職難であった約10年間を指します。バブル期に大量募集や一斉採用を行っていた企業は、1990年のバブル崩壊に伴い人件費削減を実施。
日本全体で企業の採用枠が絞られたためこの世代の新卒者は、就職活動が難航してしまったのです。
さらに1990年代後半〜2000年頃は金融不安、ITバブル崩壊によりさらに景気の悪化が進み、「超氷河期」と称されるほど就職活動が絶望的になったのです。今まで潰れるはずがないと思っていた証券会社・山一証券の97年の倒産がきっかけで、98年から本格的な「超氷河期」が始まった。
①就職氷河期の求人倍率と就職率について
厚生労働省の調査による就職氷河期の求人倍率(学生1人に対する求人数)は、1990年度の2.77%から2000年には0.99%まで下がり、求人倍率が約3分の1まで減少しています。また採用率は1997年の94.5%から2000年には91.1%へ減少。
あらゆる企業がバブル崩壊後に新卒採用を渋り、採用枠を極端に少なくしたことが大きな理由でしょう。また、採用試験も厳しくなり、適性試験に加えて、面接が4回など学歴重視から人物本位が審査基準となった。人気企業の少ない採用枠に就職希望者が何千人も集まる状況がザラでした。
就職氷河期には希望する職種に付けないのはもとより、なんとか就職できても希望職種ではないため思うように活躍できず、正社員として登用されてもすぐに解雇される場合もあったようです。
※求人倍率とは
仕事を探している人材「求職者」1人当たりに対して、求人情報が何件あるのかを示した数値です。つまり、「求人倍率が2倍の時期に就職活動をすれば2社は内定を取れるであろう」といった予想をするための統計資料の一つです。
②就職氷河期世代とは?
就職氷河期世代とは、就職氷河期に新卒で就職活動をしていた人たちのこと。1970年〜1982年、または1984年までに生まれた2021年現在37歳〜51歳の年齢の人たちを指し、別名「ロストジェネレーション世代(失われた世代)」とも呼ばれます。
その期間には、年間の出生数が200万人を超えた第2次ベビーブーム世代と運悪く重なってしまった。第2次ベビーブームとは、1971〜74年生まれを指し、人口が多いため大学入試や就職では通常でも競争が激しいのに、このバブル崩壊後の就職氷河期が直撃したことにより、より厳しい状況になりました。この状況で就職できた人は優秀な人が多かったかもしれません。
バブル崩壊に伴った人件費削減の影響を受けて、正社員での就職ができず、やむを得ずに派遣社員やフリーターといった非正規社員で社会に出るようになった人も少なくありません。
「第2の就職氷河期」が再来か!?
全日本空輸(ANAグループ)で2021年度(令和3年度入社)の新卒採用を一時中断すると発表があり、2021年3月に卒業を迎える世代に影響が出ることがわかりました。
採用再開の時期は今後の動向を見極めながら検討するとしていますが、実質「新卒採用をストップ」と見ていいでしょう。
その他の企業でも同様の動きが出ており、新型コロナウイルスの影響で「第2の就職氷河期世代」と呼ばれるようになっており、一部では就職できない人たちが多く出ていることから「コロナ世代」と呼ばれるようになってきています。
多くの企業で2021年度・2022年度の新卒採用活動を見直す動きが出ていますが、業界や企業ごとにコロナの影響は様々なため、「採用を控える企業」と「積極採用を行う企業」で2極化しているのが現状です。
①コロナによる景気悪化の影響を受けている業界
景気悪化で採用活動にも影響が出ている業種としては、卸売り・小売が最も多く、旅行・航空会社関連、宿泊施設や飲食店も景気悪化の影響は避けられない状況です。
帝国データバンクの調べでは「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)は、全国に1630件。(6月21日16時現在)
業種別上位は「飲食店」(268件)、「建設・工事業」(160件)、「ホテル・旅館」(97件)、「食品卸」(84件)などと、飲食店が圧倒的に多い。
②2022年3月卒の求人倍率は1.5倍
リクルートワークス研究所は4月27日、2022年3月卒業予定の大学生・大学院生の求人倍率(学生1人に対する求人数)を発表した。新型コロナ感染拡大が続く中、前年比0.03ポイント減の1.5倍となった。全国の学生の民間企業就職希望者数45.0万人に対して、求人総数は67.6万人と、求人総数が就職希望者を22.6万人上回る。
この結果についてリクルートワークス研究所の茂木洋之研究員は「求人倍率は微減だが、1.5倍台を維持して底堅い」と評価する。
従業員規模別に見ると1000人未満の企業は前年に続いて求人数を減らしているが、1000人以上の企業は増加に転じた。業種別では建設業、製造業、流通業の求人倍率が上昇した。コロナ禍でもこうした業界の人手不足状況は変わらず、企業の採用意欲は強い。
この大学生・大学院生の求人倍率の過去を振り返ってみよう。就職氷河期に最悪だった2000年卒で初めて、そして唯一、1.0倍を切っている。その後、2000年代半ばには回復し、2年連続で2.0倍を超える年が続き、リーマンショック後にまた低迷。2011年~2014年卒は1.2倍台で推移し、2015年ごろから売り手市場となっていた。
売り手市場といえるか否かの基準は1.6倍が目安だとされている。2022年卒の1.5倍はそれを若干下回るが就職氷河期やリーマンショック後の低迷期ほどではない。
③2022年卒大学生の内々定率は21.5%と好調が現実
すでに2022年卒の就活は始まっているが、内々定率からも企業の採用意欲の高さがうかがえる。マイナビ調査では2022年卒大学生の今年3月末時点での内々定率は21.5%(前年同期比+1.0ポイント)、平均内々定社数は1.5社(前年同期比+0.1社)となっている。
IT・医療・物流・家電・ゲーム・スーパー・アパレルなどなどコロナかでも好調な企業や業界はたくさんあり、以前の就職氷河期とは違う。
結論:第2の就職氷河期は来ない!
もちろん、コロナにより悪影響を受けてい一部の有名企業が採用を中止しているので、すべての企業が採用意欲を低下させているようなイメージがあるが実際は違うことを認識して欲しい。
採用する企業が減少する中で、優秀な人材を多く獲得できるこの機会に採用を強化している業界や企業は意外とたくさんある。従って、企業側は優秀な人材を得られる好機ですので採用を強化した方が良いと思います。
一部の報道で惑わされたり、コロナ世代だからと諦めることなく、これから日本を背負う勇敢な若者たちには、この状況を跳ね返してもらいたいと思う。状況は思ったほど悪くないのだから・・・
新時代は今まで以上に採用が重要になってきます。マイナビやリクナビなどの統一された情報や期限が来たら消えてしまう情報だけでは不十分で、企業側にノウハウは一切残りません。
就職規定の廃止や企業による独自の採用方法などの加速が予想されるため、自社で自由に発信や採用できる力がとても重要になってきます。
その自社採用力の有無で、企業の未来が決まると言っても過言ではありません。
是非、これからの採用にお役立てください。
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