日本から「ガソリン車」が消える日

2020年12月、日本でのガソリン車販売終了の目標が発表された。日本政府が2030年代半ばに国内の新車販売をハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに切り替え、ガソリン車の販売を事実上禁止する方向で最終調整に入ったと報じられたのに続き、東京都の小池知事が都議会で、都内でのガソリン車の新車販売について、乗用車は2030年までに、二輪車は2035年までにゼロにすることを目指すと表明した。

これまでの目標は、2030年までにハイブリッド車や電気自動車などの次世代車の新車販売に占める割合を50%~70%に、ガソリン車を30%~50%にするというものなので、新たな目標ではハードルを大きく引き上げる形です。

菅義偉首相は2020年10月26日に開会した臨時国会の所信表明演説で、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明したことがきっかけで始まりました。

ガソリン車の廃止によりHV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)のどれがシェアを拡大していくのか?が注目されています。

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電動車の種類は?

ディーゼル車、ガソリン車に変わって登場してきている電動車にはどんな種類があるのでしょうか?

①ガソリンと電気のハイブリッドで燃費を助けるHV

HVとは、「Hybrid Vehicle」の略。日本では通称「ハイブリッドカー」と呼ばれているクルマです。エネルギー源のガソリンを燃焼させ、エンジンを動かすことで走行します。電気で動くモーターも搭載していますが、あくまで燃費をよくするための補助的な役割。家庭用コンセントや公共のスタンドからの充電ではなく、制動時のブレーキで発電するなど 走行中の力をうまく使って発電しています。EVのように充電を行わないため、維持費としてガソリン代がかかります。

※メリット(左)とデメリット(右)

 

②EVとHVのいいとこ取りのPHV

PHVとは「Plug-in Hybrid Vehicle」の略。「プラグインハイブリッド自動車」と言われることもあります。特徴は、ガソリンエンジンを使うHVに充電できる機能を搭載したこと。ガソリンで走ることもできますが、基本的には公共用のスタンドや家庭用コンセントから充電した電気で走行します。PHVの場合、ガソリンで動かすエンジンは走行用というよりも、主に発電用。これでEVのデメリットだった航続距離の短さは改善され、同時にHVのデメリットだった高い維持費も抑えることができます。まさにEVとHVのメリットを兼ね備えたいいとこ取りの製品だと言えるでしょう。

※メリット(左)とデメリット(右)

 

③給油の必要なし!電気で走るEV

EVとは、「Electric Vehicle」の略。日本語に訳すと電気自動車という意味です。その名の通り、電気をエネルギーにして、モーターを駆動させることで走行します。ガソリンを使わず電気100%で走るため、給油は必要なし。維持費としてかかるのは、ガソリン代ではなく電気代(電費) になります。
充電するときは、公共用の充電スタンドもしくは家庭用コンセントを利用。急速充電ができる公共用のスタンドを使えば最速30分で充電が完了します。充電スタンドの普及も進んでいるため、マンションなど家庭用コンセントからの充電が難しい場合も安心です。また、エコカー減税やグリーン税制などの各種減税や補助金を受けることもできます。

※メリット(左)とデメリット(右)

 

④水素で走るエコなクルマ・FCV

FCVは「Fuel Cell Vehicle」、つまり燃料電池自動車のこと。上記の3種類の自動車と比べると構造が特殊です。専用の水素ステーションから補充した水素を使って自家発電した電気をエネルギー源として走行します。そのため、同じ電気を使うクルマでも、EVやPHVのように家庭用コンセントや公共用のスタンドから充電することはありません。燃料が水素だから、排出されるのは水のみ。「エコ」という観点ではとても優れたクルマです。

※メリット(左)とデメリット(右)

 

世界の動き

ヨーロッパはかつてクリーンディーゼルの技術で温暖化対策を進めようとしていました。ところが排ガス検査でメーカーの不正が明らかになり、ディーゼルに対する消費者のイメージが悪くなりました。パリ協定の発効もあり、驚くべきことに世界中の自動車メーカーが突如電気自動車の方向に舵を切った。

なかでも激しいのはドイツ勢。「2030年までに化石燃料燃やす新車の販売を禁止する法案」に反応し、VWグループ、メルセデス・ベンツ、BMWいずれも電気自動車を本格的に導入すると発表。

アメリカでは電気自動車を販売しなければ、反則金を払わないといけない制度を立ち上げており、今やテスラなどクルマを売る利益率より電気自動車を作ることによって入る報奨金の収入の方が良い状況。中国も突如国内のメーカーにリチウム電池の増産を働きかけ、すでに世界一の生産能力を倍増させる。

 

日本の動き

日本における石油資源の依存度が非常に高かったため、早々にリチウム電池や電気自動車の販売を進めて世界をリードしたものの、各国のスピーディな対応に、正直出遅れてしまっている。
そんな中でも、日本はHVを含めた形で脱ガソリン車を図ろうとしています。エンジンと電気の両方を使うHVの技術はトヨタ自動車をはじめ日本のメーカーが世界をリードしていますが、ガソリン車の販売終了によりHVも消える可能性が高い。なぜなら、HVも燃料がガソリンだからだ。
執着しすぎて、さらに世界から出遅れることにならないで欲しい。

 

日本は、2030年代半ばに目標を達成できるのか?

決して簡単ではないと思います。
まずは車をつくるメーカー側が電動車100%の体制にシフトできるかが問題です。国内で2019年に販売された新車430万台のうち、HVは3割超。EVやFCVは1%未満にとどまり、ガソリン車が6割を占めています。(日本自動車工業会調べ)

トヨタ・日産・ホンダは主力車種にHVを投入していますが、メーカーによってはほとんどがガソリン車というところもあります。およそ15年をかけて“オール電動車”の生産体制にするには大がかりな転換が必要です。

国内の自動車メーカーは、自社の工場で他社ブランドの車を生産するなどの協力関係を築いていますが、もしかしたら関係がより深まるといった変化が起こるかもしれません。

さらにこうしたメーカーと長年取り引きをしていた部品メーカーも電動化が進む中で事業の転換が必要になってくるでしょう。まさに日本の基幹産業=自動車業界の構造変化にもつながるだけに、国は目標を掲げるだけでなくさまざまな支援策を講じていくことが必要になってくると思います。

それにしても、わずが10~15年後にはガソリン車、ディーゼル車に乗れなくなってしまう時代がきてしまう。
そしてその次の時代には、車は所有するモノではなく、必要な時に借りるモノになる時代になりそうだ。いや、ガソリン車が無くなる前に、そういう時代になっている可能性のほうが高い。