まだまだ終わりの見えないコロナショック。ウィズコロナ、アフターコロナでも企業が生き残っていくために必要な経営戦略とは一体何なのか!?
コロナ禍で苦戦を強いられているホテル業界で、関西を中心に外資勢が出店攻勢を掛けていることから見えてくる経営戦略のヒントとは!?
はじめに
新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられているホテル業界で、関西を中心に外資勢が出店攻勢をかけている。業界では倒産の急増、施設の閉鎖や売却が相次ぐなか、とても奇妙な現象が起きています。進出するホテルの大半は五ツ星に格付けされる最高級クラスばかりです。強気の背景は何か?を調べていくと逆風下でも強みを発揮する外資高級ホテルの特性がみえてくる。
東京建物は4月に大阪・堂島にカナダの高級ホテル「フォーシーズンズホテル」の誘致を発表し大阪初進出を目指す。開業は大阪・関西万博の前年となる2024年を予定しているが、万博だけを目指しているのではなくアフターコロナを見据えた進出であると野村均社長は語っている。
関西では3月、米マリオット・インターナショナルの「W osaka(ダブリューオオサカ)」(大阪市)、高級食品ブランドを販売する仏フォションの「フォションホテル京都」(京都市)がともに日本へ初進出した。
フォションホテルを誘致した不動産投資のウェルス・マネジメント(東京都)はさらに、英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループの「シックスセンシズ」、タイの「バンヤンツリー」と高級リゾートホテルを京都で開発する。京都ではアジア初進出となる米ヒルトンの「ROKU KYOTO,LXR(エルエックスアール)ホテルズ&リゾーツ」も今年9月の開業を控えている。これらは全て五ツ星ホテルだ。
高級だからこそ商機
「国内では高級ホテルは圧倒的に少ない。少々増えても供給過多にならない」。業界関係者は高級ホテルだからこそ商機があると口をそろえています。
米旅行サイト「ファイブスターアライアンス」を基にした観光庁の資料によると、昨年6月時点で国内の五ツ星ホテルは外資も含めて34軒。世界首位は米国の801軒だが、タイ(112軒)、インド(85軒)、インドネシア(58軒)など日本より経済規模の小さいアジア諸国と比べても圧倒的に少ない。インバウンド(訪日外国人客)で欧米の富裕層が少ないといわれてきた一因ともされる。値段は一流だが、質は3流のホテルも数多く残っているし、過去の栄光だけにすがった有名ホテルも多い。
欧米の富裕層は、日本には興味があり来日したいが、五ツ星ホテルが少ないため来日を諦めているのが現状です。しかし、報道では「日本は外国人が訪れたい人気の国」としか伝えないので、その事実を知らない日本人は多い。現状、欧米の富裕層が来日していないのに、欧米の富裕層向けのカジノを作ろうとしているという矛盾だらけの計画なのだ。
外資勢が狙っているのはアフターコロナの超富裕層向けの市場です。
だが、国内のホテルを取り巻く経営環境は極めて厳しい。近鉄グループホールディングス(HD)は3月、京都市や三重県志摩市などの8ホテルの売却を発表。阪急阪神HDも6ホテルの営業を25年度末ごろまでに終了すると発表した。東京商工リサーチによると、20年度の宿泊業の倒産は前年度比71.6%増の127件と急増。このうちコロナ関連の倒産が過半数を占めた。担当者は「インバウンドの回復も見込めず、資金繰りで息切れするホテルが多い。コロナ破綻はまだ増える」とみている。ただ、経営破綻した宿泊業者の多くは、客室料金の安い簡易宿所や宿泊特化型ホテルで、設備投資や人件費のコスト負担が重い旅館です。
インバウンドの消滅に加え、政府の観光需要喚起策「Go TO トラベル」の恩恵が高級宿に偏ったこともあるが「Go TO がなくても、海外旅行に行けないなら、国内で贅沢しようという日本人客は多い。高級客室は比較的稼働がいい」との声も強い。「W osaka」では1泊100万円を超す客室に開業初日から予約が入り「標準タイプより1泊10万円ほどのジュニアスイートが人気。プライベート空間を保ちやすい高級ホテルはコロナ対策も取りやすい」という。
投資リスクを抑制
高級感、ブランド力の他に外資勢の特徴は「持たない経営」だ。ホテル物件を所有せず運営だけを受託したり、ライセンス契約を結んだりする事業形態だ。所有しない分、投資リターンは少ないが出店に伴う投資リスクを低く抑えることが可能。また、ホテルに欠かせない定期的な改装も基本的には建物オーナーが費用負担するため、事業運営が身軽になる。
「W osaka」は積水ハウスが建物を所有し、米マリオット側が運営。「フォションホテル京都」はウェルス・マネジメント子会社のホテルWマネジメントがフランチャイズ方式で運営し、ライセンス料をフォション側に支払う形だ。関西は魅力的なエリアだが、ビリオネアと呼ばれる超富裕層を満足させるホテルが少ないのが現状の課題。また、外資勢は国内客も掘り起こせるとみている。外資勢は観光需要のある一等地を狙っているが、いい立地は限られている。観光需要が戻ってからでは遅く、今がチャンスとみているようだ。
アフターコロナは「持たない経営」にシフト!?
上記の外資系ホテルの考え方は、他の業界でも共通する経営戦略であると思う。自社ビルの売却や社員数の削減、実店舗の削減など、如何に持たないか?がアフターコロナには重要な戦略かもしれません。仕事もテレワークで回っているから、今後はオフィスも要らないし、社員も好きなところに住めるという考え方もあるが、それはあくまでコロナ感染予防のための一時的処置に過ぎない。本当に今後ずっとテレワークで済む仕事は、仕事内容が明確ということになる。それは、逆に言うと「代替えがきく」とうことかもしれないので安易に喜んでばかりいられない。
しかし、コロナによって何気なしに今まで続けてきた常識に疑問を感じることが出来たことは間違いない。明らかに、コロナによって次の時代に急速に変化していきます。経済産業省が推進しているDX(デジタルトランスフォーメーション)もその一つです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
従来の、業務効率化などを「目的」として情報化やデジタル化を進める「IT化」とは異なり、「DX」はそれを「手段」として変革を進める、ということです。言い換えると、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」になります。
【参考】
DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義/経済産業省
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
(出典)デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0
経済産業省
簡単に言うと、「データやデジタル技術を駆使して、ビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらす」こと。
つまりデータやデジタル技術の活用を軸に、
- 従来なかった製品・サービス、ビジネスモデルを生み出す。
- プロセスを再構築し、既存ビジネスに生産性の向上・コスト削減・時間短縮をもたらす。
- 業務そのものを見直し、働き方に変革をもたらす。
といったように、DXはビジネス全体を根底から大きく変革することを意味します。
これは、近い将来までに企業が解決すべき課題であると認識されています。
どう進めるにせよ、上記を実現するうえで一番大事なことは「企業の在り方自体を見直す」ことです。
まずはそこから始めていきましょう。
※DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の到来?(同ブログ内リンク)>>